Latest update on 2021年7月4日 (日) at 18:43:39.
【第314回】 ネットワーク管理業務とか(2020年2月17日)
- 6:30起床。シャワーを浴びて豚肉野菜炒めを作り,レトルトご飯を電子レンジ加熱し,冷や奴とトマト1個を追加して朝食を済ませた。
- ブラジルを淹れて水筒に詰めてから出勤。
- 今日は9:00からネットワーク管理業務があることになっており,無線LANアクセスポイント増設の現場確認の立ち会いという,必要性があまり感じられない業務をするために会計係のところで待っていたのだが,基盤センターと業者の方が来ないので,いったん研究室に戻ってきた。遅れるなら連絡くらいできないのか。
- 開始時刻の連絡ミスだったそうだ。11:00少し前に立ち会い完了。もう少し効率よくできないのかとも思うが,たぶん建物の設計が複雑怪奇になっているらしく,現場を見ないと,どういう配線が良いのかわからないということらしい。仕方ないか。とはいえ,部局ネットワーク管理責任者が立ち会う必要はなかったように思うが。
- JCMの特集号にJung S-M, Akhmetzhanov AR, Hayashi K, Linton NM, Yang Y, Yuan B, Kobayashi T, Kinoshita R, Nishiura H. Real-Time Estimation of the Risk of Death from Novel Coronavirus (COVID-19) Infection: Inference Using Exported Cases. Journal of Clinical Medicine. 2020; 9(2):523.(2020年2月14日掲載)が出ていた。2つのシナリオ([1]12月8日に1人だけの発症者から流行開始,[2]2020年1月24日までに報告された20人の輸出症例に基づいた他のパラメータも利用)でMCMCで推定しているのだが,cCFRが[1]で5.3% (95%CI: 3.5-7.5%,以下同じ),[2]で8.4%(5.3-12.3%)と,インペリグループの第4報告に近い高レベルだし,R0も[1]で2.1(2.0-2.2),[2]で3.2(2.7-3.7)と推定されている。このことから,COVID-19はパンデミックを起こすかなりのポテンシャルがある,と結論している。ちなみにパンデミックとは,疫学講義の資料の3枚目のスライドに書いたが,疫学辞典では「世界中あるいは数カ国の国境をまたぐ非常に広い範囲で起こる流行(epidemic)で,通常,多くの人々に影響するもの」と定義されている(epidemicは常在している状態のendemicに対比される語で,普段はないか非常に稀な病気の発生数が急に増えることを指し,アウトブレイクは規模の大きいepidemicという定義が普通である)。ちなみに,WHOの定義は,2009年のパンデミックインフルエンザ流行前は,誰も免疫をもっていない新しいウイルスの出現により世界中で同時に流行が起こり,膨大な死者と有症状者が出ることとなっていたが,2009年のパンデミックインフルエンザはCFRが低く重症化した人も少なかったため,流行後,「膨大な死者と有症状者が出ること」は定義から削除されている。
- Lancetに2月12日付けで載っていた2019-nCoVに罹った妊婦と新生児9組についての臨床報告は,数が少ないし,全例が妊娠後期で帝王切開での出産例。だから著者もタイトルを「子宮内の母子垂直感染の潜在的可能性について」としているし,要旨にも,限られた数のデータだが9例いずれも臍帯血や母乳などを含め2019-nCoVは検出されなかった,と書かれている。この報告からは,途上国で妊婦が感染した場合のリスクについてはほぼ何も言えない点に注意。
- BMJのプレプリントサーバのコロナウイルステーマの論文集。さっき見たら77論文もあった。西浦さんもシリアルインターバルの推定値についての論文を出していた。
- 今年度は遠隔で講義を受ける院生が何人かいて,ZoomやSkypeで配信していたのだが,画質が悪いのを改善し,PCを使わなくても配信できるようにするため,LiveShell-XとQ2n-4Kを校費で購入していた。しかしこれまでYouTube Liveでの配信を何度も試みて,悉く失敗していた。さっきふと思いついてツイキャスでの配信を試してみたら,わりと高画質でうまく配信できたようだ。ただ,2 Mbpsでの配信にしたせいかディレイが酷く,たぶんこのままでは遠隔講義には向かない感じだ。今度何かコンテンツを用意して,ビットレートを落として試してみよう。内容によっては完全公開ではなく指定した人だけ見えるようにする必要もあるかもしれないので,それも試してみないと。
- 別件でSkypeで英語の通話を10分ほど。Skypeも音質が今ひとつなんだよなあ。神戸大の学内の回線速度は1 Gbpsなんだが,相手の使っている回線が遅いと,当然そうなる。まあしかし国際通話がタダでできるんだから仕方ないか。
- 神戸大学の新型コロナウイルス対応第5報の2番と3番で,流行国・流行地域から帰国した場合は学生も教職員も2週間の自宅滞在するように,と書かれているのだが,日本で市中感染が起こってしまった現在,2週間休校にするということ? 中国を除けば日本が最も流行が広がっているわけで,中国以外からの帰国者については無意味な規制だろう。対象を中国とするか,この2項目を削除するか,どちらかをしないとおかしいと思うので,とりあえず広報室にメールしてみた。→「流行国・流行地域」とは,現時点では中国(香港・マカオを含む)という追加通知が来た。それならわかる。
- 2019-nCoVの検査対象が拡大された(厚労省からの各都道府県,政令市,中核市,特別区の衛生局宛て通知,2020年2月17日付け)。条件追加によって事実上地域縛りを外したのは正しいし,フローチャートになっていて見やすい。
- 検査対象拡大もそうだが,専門家会議を踏まえて出てきた,相談・受診の目安も良いと思う。テレビや新聞でCOVID-19を扱うときは,いつも最初にこれを流すべき。今日厚労省サイトに掲載されたこれに書かれていることも悪くないが,「新型コロナウイルスを防ぐには」というタイトルは変。
- JCMの特集号,さらに今日付けで原著論文Linton NM, Kobayashi T, Yang Y, Hayashi K, Akhmetzhanov AR, Jung S-M, Yuan B, Kinoshita R, Nishiura H. Incubation Period and Other Epidemiological Characteristics of 2019 Novel Coronavirus Infections with Right Truncation: A Statistical Analysis of Publicly Available Case Data. Journal of Clinical Medicine. 2020; 9(2):538.も出ていた。これも西浦さんのグループの研究。RとJuliaとStanを使って,発症から入院までの日数にガンマ分布,発症から死亡までの日数に対数正規分布,入院から死亡までの日数にワイブル分布を当てはめたようだ。すべての解析コードはhttp://github.com/aakhmetz/WuhanIncubationPeriod2020で入手できると書いてあるのだが,まだ掲載されていないのは若干残念。この研究のポイントは,要旨にも書かれているように,潜伏期間が平均5日(95%CI:2-14日)と推定されるので,検疫期間は少なくとも14日とるべきと示唆している点と,発症から死亡までの日数の中央値が13日(右側切り捨てを考慮すると17日)あるので,(とくに流行初期は)ある時点での死者数を確定患者数で割るのではCFRを過小推定してしまうという点。これは査読付き原著論文なので掲載までに時間が掛かっていて,IFRが0.3-0.6%という推定をした研究は,時期的にはこれより後だと思われる。
- 都道府県別新型コロナウイルス感染症患者数マップというページを大濱崎卓真さんという方が作っていらっしゃるのだが,これは本来なら厚労省が作るべきページではないか。これまでも厚労省サイトに載るよりもメディアが報じる方が早く,数時間から1日程度の遅れがあったが,信頼できるデータ公開チャネルは公的機関に集約された形で備えるべき。他に二次公開されるのは構わないが,ここを見れば信頼できる最新の情報が入手できるというデータベースを,厚労省か感染研の感染症情報センターが公開し,リアルタイム更新して欲しい(できれば日本語と英語で)。IHR2005のためWHOとの情報交換を24時間やっているはずなので,それを同時に登録するデータベースを作ってアクセス可能にしておけば良いだけだと思うんだが。
- 第1回専門家会議の厚労省提出資料と,会議で出た意見を反映させた議論の方向性等。議論の方向性に関して,前者では「国内発生早期」と書かれているが,後者ではその文言が消えている。たぶん尾身先生や押谷先生がコメントされたのだと思うが,こういう議論になったのであれば,昨日の座長のコメントはおかしいし,内閣官房や厚労省のページから「我が国において、現在、流行が認められている状況ではありません」という文言は可及的速やかに削除すべきだろう。
- 帰宅後,オセアニア学会関係のメールの返事を打ったりしていたら日付が変わったので眠った。
(list)
▼前【313】(成績評価完了させたい(2020年2月15-16日)
) ▲次【315】(院生の相談に乗ってから成績処理完了するつもりだったが(2020年2月18日)
) ●Top
Notice to cite or link here | [TOP PAGE]