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【第325回】 土曜だが郵便局に行ってから査読と原稿書きのため出勤(2020年2月29日)
- 閏日という,4年に1度だけ来る奴が帰ってきた。
- 7:00過ぎに起床。豚肉野菜炒めと味噌汁とレトルトご飯で朝食。食べながらウェークアップ? とかいうテレビ番組を流していたら,関西福祉大学の勝田教授が,再燃は一例報告というコメントをしていたが,たぶん大阪の女性の話しか知らないのだろう。JAMAの4例は出たばかりだから知らなくても仕方ないが,中国での14%(論文や公式発表が見当たらないが,広東省CDCのSong Tie氏が語ったというロイターの記事があった)とかZhang W et al.の論文を知らないでいて,よくコメンテータをする度胸があるなあ,と思う。専門は渡航医学の方らしいが。
- WHOのCOVID-19日報におけるGlobal Levelの危険度が2月27日のHighから2月28日にはVery Highに変わっていた。
- 論文ではないので信憑性がわからないし,期間も書かれていないのが情報としての価値を落としているが,この情報によれば,北京と広東省の135人(130人は軽症,5人は重症)にクロロキンを投与した結果,130人は誰も重症化しなかったし,5人の重症者のうち4人は退院し,1人は軽症化したという,俄には信じがたい報告がされている。これが本当なら,物凄い朗報である。それを受けての反応なのか,これも信憑性は不明だが,UKは潜在的な治療薬としての国内供給を守るため,クロロキンを含むいくつかの薬剤の並行輸出を禁止したというニュースも出ている。安いし合成も難しくないから利権にはならないと思うが,暫く品薄になる可能性はあるからだろう。クロロキンは,これまで,熱帯の多くの国でOTCとして空港の売店やドラッグストアなどで処方箋なしで買える薬だったし,個人輸入もできたのだが,今後,UK以外でもそういう動きが出ても不思議ではない。中国で進行中の多施設治験の結果が待たれる。クロロキンが有効な治療薬になるなら,この病気はまったく怖がる必要はないことになるのだが,まあ,そんなにうまい話はないだろうなあ……。ただ,たぶんNCGMにはクロロキンは備蓄されていると思うので,治験とまではいかなくても,培養細胞を使ってテストすることくらいはできるんじゃないだろうか。誰かやらないだろうか。
- NHKの「かんさい熱視線」という番組で,若い女性患者で何日も症状が続き,レントゲンで肺炎であることを医師が診断して大阪市保健所に検査依頼しても,先に他の肺炎でないことを確認してから依頼して欲しいと断られた,という事例が報道されていた。こういう事例がいくつあるのか,集計して公開するシステムができないだろうか。それがあれば,未検査で感染している可能性があるコンパートメントを見積もることが,よりやりやすくなり,推定値の信頼性が高まるので,それこそ医師会とかで集計したら良いのではないか。前にも書いたが,肺炎であって医師が必要と判断したら検査というのは合理的な線引きだと思うので,これは大阪市保健所の対応が悪いと思う。専門家委員会が出した方針によれば,大阪が地域クラスター認定されたら,検査しなくてはいけないのだから,90検査/日しかできないというのは理由にならない。肺炎がないのに検査するのはデメリットの方が大きいと思うが,現在若年成人が肺炎症状を呈しているならば,他の肺炎よりも先にCOVID-19の可能性を疑うべきだろうし,そこまで含めた鑑別を保健所や地方衛生研究所で受け持つことも可能だろう(ぼくは医師ではないし臨床のことは知らないので自信はないが,文献上の知識からはそう思う)。
- ドラゴンズが無観客でカープとオープン戦を行い,ビシエド選手がソロホームランとタイムリーで2打点,武田選手がソロホームランを放って1打点を挙げ,投手陣は堅い守備のおかげもあって1失点に抑えたので,3-1で勝ち切った。これで勝率5割になった。
- 既に予告されていた通り,Rの5回目(20年目)の誕生日である今日,R-3.6.3 "Holding the Windsock"のソースバージョンがリリースされた。
- 新型コロナウイルスに関する誤情報をSNS上で広めるボットが数多く暗躍しているという記事が,昨日のGigazineに載っていた。2009年のパンデミックインフルエンザのときもそうだったが,感染症と闘わなくてはいけないときに,どうして便乗犯罪者が出てくるのか。パンデミックになったら犯罪者自身も感染するかもしれないし,世界恐慌になったら,仮に自分だけ多少儲けたとしても,幸せになれるわけがないのに。自爆テロのような意図なのだろうか。
- 2月12日に風邪様の症状があって病院を受診し,抗生物質を処方されたのに翌日ライブを見に行った人が叩かれているが,勤務先とかライブハウス名とかを大阪府知事が公開するのはまずいと思う(この件に触れる方も,そういう個人情報に繋がることはリンクしない方が良いと思う。同じライブに行ったかもしれない人が自ら感染しているかもしれないと疑うことができるという効果はあるかもしれないが)。2月13日にtweetしたように,その頃はまだテレビや新聞やSNSでは,臨床医を中心に,ただの風邪だから心配するなというデマを撒き散らす人がたくさんいたのだ。少なくとも,そういうスタンスをとっていたメディアが,愚かだといってこの方を責めることは,フェアではないだろう。そういうことが起きないように1月から情報発信していたのだが,伝わらなかったのが悔しい。ぼくは2月14日にマスギャザリングイベントは止めるべきと書いているが,その週末,はだか祭も青梅マラソンも熊本マラソンも京都マラソンも北九州マラソンも普通に行われてしまったのは,世間の多くの人がCOVID-19を甘く見ていたことを意味する。後付けで個人を叩くべきではないし,追い詰めてはいけないと思う。
- 西浦さんがJCMのEditorial第4弾(2020年2月29日付け)で,クルーズ船内での罹患率の逆算(back calculation)結果を報告している。クラスター対策班で忙しいだろうに,いつ眠っているのか心配になるほど八面六臂の活躍をされていて凄いと思う。結果は,2020年2月2-4日に感染のピークがあって,その後,罹患率が急に減少したこと,濃厚接触がなかった乗客には,移動制限が導入された2月5日以降の新規感染数はきわめて少ないと考えられること,もし移動制限が導入されなかったら,濃厚接触ありの人での累積罹患数は1373人,濃厚接触なしの人で766人になるはずだったところ,実際にはそれぞれ102人と47人にとどまったことであり,定性的には感染研が出した報告と一致していた。
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