最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
イエスの遺伝子(The Miracle Strain) | 徳間書店 |
著者 | 出版年 |
マイクル・コーディ(内田昌之[訳]) | 1998 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
オビに鈴木光司氏と瀬名秀明氏が絶賛したとあって,そのおかげかどうか知らないが発売後3ヶ月で9刷を数えた大ベストセラーである。
遺伝子工学の天才科学者が,娘の病気を治すために遺伝子治療に使う「奇跡を起こす遺伝子」を探すというストーリーは面白いし,「奇跡を起こすメカニズム」もそれらしい説明が与えられていたし,敵役の狂信者集団もあっても不思議はないなと思わせる程度には書き込まれていたし,何より表現力には圧倒された。たった一つの瑕疵さえ気にしなければ文句なしの傑作といえる。
集団遺伝学的に見てしまうと,荒唐無稽なのだ。遺伝子とは親から子へと確率的に伝わるものだということを少しでも考えたら,この設定はとても変だぞ。