最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
真夜中の死者 -イリュージョン- | 光文社カッパ・ノベルス |
著者 | 出版年 |
矢口敦子 | 1999 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
現実が小説に追いついたというべきか。
自殺をほのめかす「ホームページ」(注:WEBサイトの意味で使われている)の掲示板で意見を交わしていた人たちが,その「ホームページ」の開設者の「少女」が死んだという「少女の父」からの書き込みを見てから「少女」が誰だったのかを探るうち,次々と妙なことが起こり,最後には意外な真相が明かされる,というストーリー。ストーリー展開以上に,手品の種があまりにも現実を反映していて衝撃的である。人物描写なんかは類型的で深みはないのだけれど,数ある通信もの(鳥井加奈子「オンラインの微笑」新潮文庫とか,栗本薫「仮面舞踏会」講談社文庫とか)の中でも一,二を争うネタといえる。もうちょっと料理のやりようはあったかもしれないが。