目次

書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『ブルー・ハネムーン』

書名出版社
ブルー・ハネムーン光文社文庫
著者出版年
篠田節子1997(新書版は1991年)



May 01 (sat), 1999, 17:14

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

これまで「夏の災厄」「カノン」と2冊,篠田節子作品を読んできたが,本書は一見それらとかなり趣向が異なる作品である。しかし綿密な取材と確かな人間描写に裏付けられた独特の世界は,一気にページを繰らせずにはいなかった。筋も2転,3転し,推理小説としてよくできていることは間違いない。

巻末に2つもできのいい解説がついているので,内容に関してはそれらを参照されたいが,簡単に言ってしまうと,詐欺という生業を題材に,癒しと再生を描いた作品である。話は重いのだが主人公である姉小路久美子の性格設定のためか,軽く読める。といってもコメディではない。ただ,ぼくが読みこなせていないだけかもしれないが,砂糖王某の役回りがわからなかった。そのため,やや不消化な印象をうけた。


旧書評掲示板保存ファイルトップへ