最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
動物園にできること 「種の方舟」のゆくえ | 文藝春秋 |
著者 | 出版年 |
川端裕人 | 1999 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
昨年川端氏がアメリカ留学中に取材し続け,追及した,動物園は何をすべきか,何ができるのか,というテーマの総決算である。イルカやマナティの取材のときと同じく,当事者の生の声が聞こえてくるような本にしあがっている(飼育者自身が書いたものではないにもかかわらず)。1年間でよくここまで取材できたものだと感心した。13章「ブロンクス裁判」でアニマルライツとディープエコロジーの活動家を動物園に連れていってしまうバイタリティーもたいしたものだ。本書で最後に触れられている,日本の動物園がお寒い状況だというのは,組織的な問題,制度上の問題であって,個人の資質ではないような気がする。川端氏には,是非北九州の「いとうずゆうえん」に行って欲しいものだ。
なお,下のURLにも触れた,本書後半の主題に絡んでくる,動物園による「種の保存計画」については,正直なところ賛成できない。別の本でそれをテーマに取材してくれるといいのだけれど。