最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
公園デビュー | 学陽文庫 |
著者 | 出版年 |
本山ちさと | 1998 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
参与観察レポート。20世紀末日本に見られた,「公園」を舞台とする母親たちのサブカルチャー。著者の報告する限り,いかにも日本的な習俗である。子どもを外で遊ばせるという本来の目的以上に自分の安住の場所をみつけるための「母親の公園デビュー」というのは卓見である。
うちの近所の公園はみんなこの本でいう「さびれた」状態なのかなぁ? でも父親だって,知らない人でも挨拶くらいしますよ・・・ってのは保育園での慣れのせいか? 本文中,「公園デビュー」を巡る状況,それを成立させてきた条件が次々に提示されてくるところなど,良質な文化人類学か社会学の研究における謎解きのようである。一定の年齢層で所得も同じくらいの専業主婦がある程度集まって住んでいて,小さな公園がぽつぽつあるようなところでないとできなかった研究だったように思う。貴重な記録である。面白くて一気に読めてしまう。
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
参与観察のなんたるかについては,上記文脈では,佐藤郁哉「フィールドワーク」が詳しい。下記URLも参照されたし。