最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
稲作の起源を探る | 岩波新書 |
著者 | 出版年 |
藤原宏志 | 1998 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
著者は宮崎大学農学部教授で,プラント・オパール分析法の開発者である。
植物の起源を探る方法論は,生物地理学から埋蔵種子分析,花粉分析へと発展してきたが,イネ科植物については長らく決定的な方法がなかった。著者はイネ科植物の葉に比較的大型で珪酸の沈積層の厚い「機動細胞珪酸体」と呼ばれるものがあり,枯死して土に埋もれた後では珪酸体だけが残存して50μmくらいの微化石(プラント・オパール)になり,それが種類ごと(厳密にいえば個体ごと)に違うことに目をつけ,分析方法として確立した。
標本の写真は3Dで作成してWEBで公開したらいいのではないかと思う。「起源」について順番に解き明かすという作りでないため若干読みにくいが方法論開発の苦労も含めて面白いエピソードにあふれている。