最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
インフルエンザ 新型ウイルスはいかに出現するか | PHP新書 |
著者 | 出版年 |
中島捷久(Nakajima Katsuhisa),中島節子(Nakajima Setsuko),澤井 仁(Sawai Hitoshi) | 1998 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
インフルエンザについて,歴史から系統から感染メカニズムに至るまで網羅的に説明したテキスト。著者の中島捷久さんは理学博士で名古屋大学医学部ウイルス学教室教授,中島節子さんは医学博士で公衆衛生院の分子疫学室室長,澤井さんは日経BP社の編集者である。中島夫妻が専門的知識をもとに書いた原稿を,澤井さんが一般向けに噛み砕いたということらしい。
全体として,内容は面白いのだが,「わかりやすく」という著者たちの意図はあまり果たせていないように思う。5章と6章の新型ウイルス出現の謎解きのところ,凄く面白いのに,面白さを伝えるのに必要な情報の3倍くらい詰め込まれているために,一般の人には面白さが伝わりにくいのではないかと懸念する。しかし,新しい情報まで満載だし,じっくり読めば読むほど面白いはずなので,頑張って読んで欲しいものである。なぜ冬に流行するのかがわかっていないこととか,インフルエンザ予防のために競走馬に毎年ワクチン摂取が義務づけられていることなど,あまり知られていない事実も知ることができる。有馬記念は冬だからなぁ。最後の方の化学療法開発の話は付け足し的。この辺り,詳しく書けば別の1冊の本になるのではと思う。
誤植を1つ見つけた。76ページの表,「亜鉛」となっているのは,「亜型」が正しい。