最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
アジア菜食紀行 | 講談社現代新書 |
著者 | 出版年 |
森枝卓士 | 1998 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
著者はフォト・ジャーナリスト。アジアに広く見られる菜食を,体験に基づいて印象比較したり,文献を読んで考察したりという方法によって,なぜアジアに肉を食べないという食文化が広く存在するのかを論じたもの。学術書ではないので,体験や文献が系統的でないし,考察も論理よりは直感に基づいているのだが,納得できる点も多い。「豆とミルクで生きていけるような食文化体系を作りあげたから,インドはこれだけの人口を支えていけるのだ」とか。
一本通った論理の流れがないために,専門家には食い足りないところもあるが,一般読者が読む本としては,あっちにいったりこっちにいったりと挿入される食のエピソードも,またアジアらしくていいような気がする。
写真の数は多くはないが,日本で生活する一般の人にはほとんど見る機会がないものばかりで興味深い。手作りのパニールの写真やジャイプール市内の豆売り状況の写真など貴重だと思うが,カラーでないのが惜しい。