最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
シーラという子 | 早川書房 |
著者 | 出版年 |
トリィ・L・ヘイデン(入江真佐子訳) | 1995年(翻訳出版年度) |
E. Shioda <ppp942.st.rim.or.jp> website
ほかで紹介したときのコメントを再利用させていただきます。
「シーラという子」
ノンフィクションということです。当初は出版の目的ではなく記憶にとどめる
ためのメモであったという著者の姿勢のため読みやすく、押しつけがましくも
説教臭くもない内容です。久々に原書にあたりたい衝動にかられました。シーラは自分からのコミュニケーションを捨てた6歳の問題児で、重大な事件
を起こしたためにゆくゆくは精神病院にはいる運命でしたが、空きがなかった
ために臨時の扱いで著者のクラスにはいってきます。著者のクラスはいわゆる
普通学級ではなく、自分から感情を出さずに暴力だけふるうシーラが基本的な
学力がないと判断されたための措置でしたが、やがてシーラは一般以上の学力
を持つ利発な子供であり、複雑な環境の犠牲者であり、誰よりも傷つきやすい
もろさを持っていることがわかってきます。続編の「タイガーと呼ばれた子」は、7年後の再会を描いています。
長尾 江里子 <pl080.nas621.k-tokyo.nttpc.ne.jp>
シーラが劇的に変わっていった事それには本当に感動しました。その反面、教室が閉鎖になり普通教室に通うことになり、トリィと別れ、新しい世界に踏み出したシーラを心配せずにはいられませんでした。たとえ、彼女が変わったとしても彼女の置かれてる生活自体は何も変わってないのだから。。トリィはあくまで、その場の教師に過ぎず、将来に渡り彼女を見守る義務はないかもしれない、でも本当にこれでよかったのか疑問が消えませんでした。その答えは、続編のタイガーと呼ばれた子にあります。シーラの子以上に心が苦しくなり、大人の無力さを感じました。