最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
笑わない数学者(MATHEMATICAL GOODBYE) | 講談社文庫 |
著者 | 出版年 |
森博嗣 | 1999(ノベルス版は1996年) |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
犀川助教授とその学生でかつ恩師の娘である西之園萌絵が探偵役となる謎解き小説の第3弾。ノベルス版では第10弾まで全部が出版済みだが,既に読んでしまった傑作「封印再度」以外は,文庫が出る都度読み進もうと決めている。
この作品は天才建築家が作ったオリオン座を象った「三ツ星館」に住む天才数学者が主役である。この館では毎年1度,親類が集められてパーティが行われていたが,たまたま犀川助教授と西之園萌絵が招かれたときに,出席者中2人が不自然な死をとげる。警察の検死により,殺人であるとわかり,2人がその謎を解く,というのが粗筋である。
殺人事件や,オリオン像消失の謎は,たいして意外なものではない。むしろ面白いのは,天才数学者が出す(にしては陳腐で,珠算塾の先生が出しそうな気はしないでもない)数遊びである。結局ビリヤード玉の問題は答えが作中で与えられずに終わるが,正解を知りたいものである。
なお,犀川の思想を語る部分は,例によって共感できるところが多いのだけれど,これだけ頭のいい犀川がタバコを吸わないと集中できないと思いこんでいるところが,何とも妙である。西之園萌絵とのラブコメ的なところでも犀川は自分が把握できていないようで,急に間抜けになってしまうが,どうも性格設定に一貫性がないように思う。もっとも,実際に一貫性がない人というのは存在するからいいんだけど。
E. Shioda <112.pool15.tokyo.att.ne.jp> website
わたしはミステリ作品で邸内の案内図が苦手で、今回も見開きにあった図は通過して内容を読み始めたところ……20ページくらい読んで嫌な予感がして図を見たら、内容がわかってしまいました。念のため最後まで読みましたが、ほとんどすべて当たっていました。もうミステリというのは、ほとんど出つくしてしまったんでしょうか。
以下、いちおう改行を多めに入れておきます。
読んですぐ思ったのは島田荘司の「アトポス」と「斜め屋敷の犯罪」。これでもうネタバレです。