最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
パワー・オフ | 集英社文庫 |
著者 | 出版年 |
井上夢人 | 1999(単行書は1996年) |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
自律的プログラムものである。遺伝的アルゴリズムによって自身のアルゴリズムを改良しながら自己増殖を続けるプログラム「アルファ」とコンピュータウイルスの偶然の出会いが予想外のネットワークの危機を引き起こし,それを何とか正そうとするソフトハウス,ネットプロバイダ,「アルファ」の生みの親の一人が努力するというのが粗筋。ソフトハウスやネットプロバイダの描き方や,ハッカーの行動のディテールは悪くない。
しかし,惜しむらくは大風呂敷を広げすぎであった。だってさあ,それって,たんに評価関数の設計ミスじゃ? と気づいたら最後,醒めてしまうのである。その辺,詳しくない人なら楽しめると思うのだけれど。
E. Shioda <189.pool17.tokyo.att.ne.jp> website
一部ネタバレ表現ありなので多めに改行しておきます。
わたしは読んでいる途中で「人為的な災害なのに謝りもしないこの人は最後にどう責任をとるつもりか」と思っていたら、まったくそういう方向には流れなくて「それが生命ですよ」と、のほほんと開き直るところに絶句してしまった。まったく読むのに適していない人間(わたし)が読んだということかもしれないが、それにしても最初の展開から予想されるものと終盤の世界の開きには違和感があった。