最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
ネットフォース | 角川文庫 |
著者 | 出版年 |
トム・クランシー,スティーヴ・ピチェニック([訳]熊谷千寿) | 1999 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
連続テレビシリーズになっているらしいが,こんなにスピード感のないサスペンスをドラマ化するとは,さぞ役者や監督は苦労したことであろう。それともB級アクションものなのか?
設定は悪くない。ネットワーク犯罪に対処するために組織されたFBI内の特捜隊,「ネットフォース」が,悪の天才プログラマによって企てられた大陰謀を阻止するべく闘うという話である。悪の天才プログラマは,ネットフォースを攪乱するために司令官を暗殺させてみたり,その暗殺をマフィアの仕業にみせて,かつマフィアの側にもFBIから報復されたように見せてみたり,と細かい芸を使う。そうなってくると,芸術的な殺し屋が出てきたりするのもお約束である。しかし,それがあまりに盛り沢山すぎて,不消化に終わっている。だいたい,「ネットフォース」とかいいながら,肝心のネットワーク関連の描写がなさすぎる。VRでの犯罪というなら,せめて「マイクロチップの魔術師」くらいのイメージを描いて欲しいところである。
はっきりいって,つまらなかった。
#余談だが,世界の警察を自認して内政干渉する米国的世界観があまりにストレートに出過ぎているのも嫌みだ。●税別933円(!)文庫なのに高すぎ。