目次

書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『死神』

書名出版社
死神文春文庫
著者出版年
篠田節子1999(単行書は1996)



Oct 29 (fri), 1999, 16:48

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

岡田幸四郎氏の解説が完璧なので,つけくわえることは何もないのだが。

市の福祉事務所に勤めるケースワーカーたちと,彼らが出会うケースたちが織りなす人間模様を描いた作品。体裁としては連作短編集といえようか。一般に社会的弱者と見なされ,「保護される」存在であるケースたちではあるが,実は「保護」が弱者を弱者たらしめている部分もあるのではないか,と敢えて問いかける点が,読者の心を揺さぶる。群像劇として描き出した点が篠田節子のうまさであると感じた。

●税別514円,ISBN 4-16-760503-1(Amazon | honto


旧書評掲示板保存ファイルトップへ