最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
死神 | 文春文庫 |
著者 | 出版年 |
篠田節子 | 1999(単行書は1996) |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
岡田幸四郎氏の解説が完璧なので,つけくわえることは何もないのだが。
市の福祉事務所に勤めるケースワーカーたちと,彼らが出会うケースたちが織りなす人間模様を描いた作品。体裁としては連作短編集といえようか。一般に社会的弱者と見なされ,「保護される」存在であるケースたちではあるが,実は「保護」が弱者を弱者たらしめている部分もあるのではないか,と敢えて問いかける点が,読者の心を揺さぶる。群像劇として描き出した点が篠田節子のうまさであると感じた。