最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
天文学者の虫眼鏡 文学と科学のあいだ | 文春新書 |
著者 | 出版年 |
池内 了 | 1999 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
文学を科学の目で見ると? という趣向で,古今東西の書物を肴に,物理学や天文学や環境問題に至るまでの蘊蓄を傾けたエッセイ集。思索の深さに随分刺激を受けた。名著といって良い。「枕草子(My Favorite Things)」を100倍格調高くすると,こうなるかもしれない。Once in a blue moonが何故とっても珍しいことなのかがわかって,ちょっと嬉しい。
目次を紹介しておこう。1.マグデブルグの半球よ/2.眠れる猫,力学の法則を学ぶ/3.俺は北極星のように不動だ/4.篠懸を黄ばませる秋風と共に/5.ゆく河の流れは絶えずして/6.ほとけは常にいませども/7.お月さまいくつ 一三七つ/8.もろともに宇宙の微塵となりて/9.丑時客星出觜參度/10.地球の上に朝がくる/11.「木枯し」「もんじゅ」ろう/12.虹の女神イリスの嘆き/13.てふてふが一匹
はぎはら <central.med.teikyo-u.ac.jp> website
数々の文献(古典を含む)を基に科学に関する話題を取り上げている。著者のあまりの視野の広さ、話題の豊富さに自分の不勉強を痛感してしまうような本である。ぼくとしては第八章(もろともに宇宙の微塵となりて)と第十三章(てふてふが一匹)がとても印象深い。
何十年も後にはこんな本が書けるといいなぁ。