最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
新版・クラシックの名曲・名盤 | 講談社現代新書 |
著者 | 出版年 |
宇野功芳 | 1996 |
徒然三十郎 <tkyo4323.ppp.infoweb.ne.jp>
本書の旧版と本書に触発されて随分たくさんのCDを買ってしまいました。例えば、チャイコフスキーの「ピアノ三重奏曲」の第一楽章について「そのめんめんとして、いつ果てるとも思えぬ情感は美しさの極であり」と書かれてしまうと、推薦盤であるチョン・トリオのCDを買わざるをえなくなってしまいます。もっとも、それに続く「ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」の第二楽章を愛する人には何よりの音楽といえよう」という表現が僕にはいっそう効果的でありましたが。
同じ著者による『交響曲の名曲・名盤』『協奏曲の名曲・名盤』との重複がある程度避けられており、チャイコフスキーについては、「交響曲第六番」も「ピアノ協奏曲第一番」もなく上記の1曲だけになってしまっています。一方、僕の大好きなラフマニノフについては、『協奏曲の名曲・名盤』と重複する「ピアノ協奏曲第二番」ばかりか『交響曲の名曲・名盤』で無視された「交響曲第二番」もとりあげられていて、うれしいかぎりです。次の機会には「ピアノ協奏曲第三番」も是非お願いしたいところです。もしよかったら「交響的舞曲」も。
著者の見解で何とも同意しがたいのはブラームスに対する「ネクラでいけない」という批判です。「クララ・シューマンを愛しながら結婚できなかったのもうなずけよう。モーツァルトならルンルンで結婚してしまうところだ」とまでいわれてしまうと、人生ってそんなものですかねえ、と疑問をはさみたくなります。