最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
オランウータンに森を返す日 | 旺文社 |
著者 | 出版年 |
川端裕人 | 2000年 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
子どもに写真でも見せてやってくれという主旨でご恵贈いただいたわけだが,なかなか読み応えがある本だった。大量消費社会が元凶ということが読者対象である子どもたちにどれだけ伝わるかが,この本の勝負のポイントではないかと思うが,いい線行っているのではないかなぁ。欲望を満たすことだけで行動するのではなく,飼い主の責任とか社会的にそれがどういう意味をもつのかなど想像力逞しく考えて行動しないと悲劇が生まれる,というペットを飼う人に向けた前半の結論ももっともだけれど,カリマンタンに行き,森に生きるオランウータンやリハビリセンターのオランウータン,森林伐採現場などを見て,最後に行き着く結論が,やはり最大のポイントと思う(最後に解題されて,ああ,そうだったのか,と漸く著者の意図に気づいたのは,ぼくは相当にぶいかもしれない)。
今年の読書感想文コンクールの小学5,6年の課題図書に選ばれたようだが,環境教育とかいうなら,ケナフを植えるとかいう単純かつ欺瞞的なやり方ではなく,本書を読ませた方がずっと役に立つと思う。もちろん,児童書だからといって大人が読めないということはない。多くの他のすぐれた児童書と同様,大人が読んでも目を開かされる点が多い。
naoko <44.pool15.tokyo.att.ne.jp>
ある日何気なく見たテレビ番組でこの本の事を
初めて知りました。
その本の題名は「オランウータンに森を返す日」。
私はむしょうにこの題名が気になって
しまい後日書店で買い求める事にしました。
作者はこの本で大阪のペットショップで発見された
犠牲者である幼い4匹のオランウータンを敢えて
「森のピンチ」を知らせるための使者として
とらえ私達にやさしく、厳しく訴えています。
それゆえにこの本題名は「オランウータンを森に返す日」
ではなく「オランウータンに森を返す日」なのです。
誰が森の人オランウータンから森を奪ったのか
誰が彼らを森から引き離したのか。
作者はそれを紐解くと単に酷いペットショップのオーナー
のせいだけではないという事が明らかにして行きます。
私はこの紐のからがり具合は大変に複雑で難しいですが
オランウータンに森をかえす日、そんな日が来る事を
私達日本人は皆で真剣に考えなければならないと
この本に掲載しているこの幼く無垢な使者の瞳の
写真を見るたびに心が強く思いました。