最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
現在を生きよう | 実業之日本社 |
著者 | 出版年 |
鈴木光司 | 2000年 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
若者に向けて書かれた人生指南書といった体裁である。思いこみや牽強付会が多々あって辟易するが,著者鈴木光司が本書に込めた3大メッセージ「他人の目を気にせず自分で価値判断しよう」「父から子へ社会性と生活知の伝承をしっかりしよう」「上記2点を踏まえて現在をしっかりと生き,明るい未来を作ろう」には共感した。とくに,他人がどう思うか想像して自分の行動を変えるということの馬鹿馬鹿しさをはっきり指摘している点はすばらしい。リング3部作の読者の半分でもいいから本書を読んでくれれば,本当に社会は変わるかもしれない。タバコへの考え方にはまったく同感だし,イメージ戦略の有効性に気づいているのは鋭いと思う。With Loveでの竹野内豊が,手持ち無沙汰なときにタバコなんぞ吸わないで飴でもなめていれば,10代の若者の喫煙率はちょっとは減ったことだろう。もっといえば,外では吸わないんだ,という発言をさせると効果的かもしれない。年会費1万円くらいの行動するNGO「咥えタバコを止めよ(STOP SMOKING WALKING)」てアイディアは如何だろうか(飴やガムのメーカをスポンサーにするとか)? なお,後の方で触れられている,マスコミの報道が危険を過大に煽ることに偏っているという指摘もその通りだが,ぼくは寡聞にして凶悪犯罪件数の推移の実データといったものを見たことがないので,折を見て調べてみようと思った。
辟易した点は自己の体験を絶対視するが故にあるので,記述の力強さを犠牲にしない限り改善されないだろうが,例えばバイクでなくたって自転車旅行でもいいじゃないかとか,高校生の時点で進路を決めるのに問題があるのは年が若すぎるからではなくて,押しつけられるからだろうとか,読みながら文句をつけずにはいられなかった。著者は,自分に自信があるように見られる,と書いているが,何を隠そう,ぼくも無根拠に自信をもっていることでは人後に落ちない。「他人の目を気にして生きるなんてくだらないことさぁ」と,いけないルージュマジックを歌っていたキヨシローにもウンウンと肯いたものだが,本書は自信をもつことの責任もきちんと指摘している点がただのパンクスではなく偉い。もっとも,偉いことが万人の共感を呼ぶかといえば,その限りではないので,どこまで本書が受け入れられるかはハテナ? なのだが。
自分の好きなことには甘くなるという危険は常にあって,鈴木光司はバイクやクルマが好きな故に,「子どもたちは否応なく交通社会に組み込まれていくのだから,高校で免許取得を禁止するのではなく,親がきちんと運転技術を教えるべきである」という主旨の文を書いて,現状の自家用車が並んで渋滞何十キロという「交通社会」,空から東京をみると覆っているのがわかる紫色のスモッグの傘の元凶でもあり,子どもが安心して家の近所を出歩けないような状態のそれの,存続を前提とした議論をしている。その一方で,人智はこれまでもいろいろな問題を解決してきたし,これからも解決できるように進歩するという明るい未来像を描いているのだから,これは明らかに議論が「甘い」。まあ,その辺が改善されるほど冷静だったら,本書にこめられたような熱さは出てこないような気もするが。
ユキ <yahoobb220017203163.bbtec.net>
私の場合は、たまたまでもありますが、似たような価値観を持っており、書店で目次に目を通して直に読みたい衝動にかられました。基本的に考えは一緒です。ブランド品の質のよしあしはしりませんが年相応、収入(身なり)に相応しないとあまりにもアンバランスだと思います。流行に流されているとしか思えません。その他にも同意できるところ多々というよりほとんどです。私は女性ですが、周りに気が合う人がいまいちいません。まず、その原因に価値観の違いから生じていると感じています。正直多数の人が、多数意見の方が正しいと思っていることがひしひしと感じられます。私は今大学1回ですが、分からない授業などは時間の無駄と思い既に受けずに自学自習に変えていますが、どうもその行動が女の子にの中にははただの不真面目に映っているようで、(大学に何をしにきているのか?)などと言っている人もいるみたいです。この話を聞いた(もちろん又聞きですが)時に私はさらに失望しました。人の価値観も理解もしようとせず、また授業にでるだけでよい子になってるつもりなのでしょう。授業に出た後で、何を今日学んだか聞いてみたいものです。はたして私より理解しているのだろうか・・・。私は真剣に集中して受けてみたが、ほとんど分からなかった結果に自学自習にしたのですが・・。そのような多数の方が正しい(能率がいい)と考える人にはどうしても尊敬の念、敬える点が感じられないのです。すぐに真似できますし・・。特に浪人のせいで私はこのような考えが強くなったのでしょうが、先ほどいったようにこの本には同感ですが、社会でうまくなじんでいくにはある程度折れないといけないかなとも思います。そこまではっきりと良い悪いと分けてしまうのは、微妙だなとも思いました。価値観は人それぞれ違いますし、表だけを見ただけでいちいちこれは良くないととか人に否定をされても嫌なものです。自分が深い信念を持ってやったことなら尚更です。自分とは、考え方が違うといったところで、止めるべきこともあるように思えます。協調という点で信念はたやすく人にいうものでもないかと私は思っていますし・・。本という形はテレビと同様誰でも見ますし、誘導効果もあるとおもいますので。でもなんだかんだ言って、この本を読んで新しい価値観が生まれるなら、すごい良いことだと思います。人生一回きり。引かれたレールに乗って生きて何が楽しいか?映画で聞いた言葉ですが、物にふりまわされているというのが現状の人が多々いるのではないでしょうか?