最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
コール | 祥伝社ノン・ノベル |
著者 | 出版年 |
結城恭介 | 1995年 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
犯人当てや謎解きが主眼ではないから本格ではないのだが,「物語」としての出来はよい(氷川透とはまた違った意味で,小峰元の青春推理シリーズを想起させる痛さをもっている)。電話を使ったトリックの博覧会といいたくなるほどネタの数は多いので,謎解き風にも書けた筈だが,たぶん読者がついてこられないだろうと踏んで説明的な出し方をしているのだろう。さすがに「C言語上の小説」を書いた結城さんだけのことはあって,ラジオライフ的な技術の小説への取り入れ方は,他のどの作家よりもこなれている。
結城さんの作品はなかなか書店でお目にかかれないので,これも図書館で借りて読んだのだが,TRCのデータによるとまだ絶版ではないらしい。今のうちに買っておくことをお薦めする。