最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
ザリガニはなぜハサミをふるうのか 生きものの共通原理を探る | 中公新書 |
著者 | 出版年 |
山口恒夫 | 2000年 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
メインタイトルよりも副題の方が内容を正確に表している。それも悪くないんだけれど,なんか大上段に構えて無理している分,面白さが減っているような気がした。生きものを飼ってれば,もう少しこぼれ話的なものがありそうに思う。結局,なぜハサミをふるうのかについての目的論的な答えも構造的な答えも十分には与えられない点には不満。
もっとも,ザリガニを材料とした生理学的知見には面白い点がたくさんあった。光感受性ニューロンの分布とか,体の平衡を保つためのシステムとか。後者は砂をかぶる話は知っていたが,NGIの話は初めて知った。生体システムの冗長性はよく言われるが,それにしてもうまくできていることに感心する。主な参考文献のリストが載っているのにも満足。