最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
蘇るおいしい野菜 | 宝島社新書 |
著者 | 出版年 |
飯田辰彦 | 2000年 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
思想的にはかなり頷けることが書いてあって,かつ常識破りなので驚いた。岩茶がうまいことを考えれば,作物は甘やかさないで育てた方がうまくなるという話には一理ある。p.40で池部誠さんが週刊文春に掲載したアンデスのジャガイモの写真に触れて「花や種子が大きいということは,植物が健全なことを何よりも物語っていた」とあるが,移動可能な有性世代にコストが振り分けられると考えれば,そこの環境が生育に適さないという解釈もまた成り立つから,何が「健全」なのか,何がうまいのかという解釈次第で結論は変わると思う。
つまり,野生動物の締まった肉と,甘やかして育てた霜降り牛肉のどちらをうまいと感じるかという問題は,文化によって大きく影響されるという問題があるのだ。生育に厳しい環境になってきたときに個体数を減らした方が適応的と考えられるから,そのときに捕食者がうまいと感じる方が理にかなっているのではないか,と個人的には思う。だから,従属栄養生物としてのヒトが本来捕食対象にする生物は,永田農法のような厳しい育て方をした方がうまいと感じるのが,生物としてのヒトとしては自然なように思う。それゆえ,ぼくは永田農法には共感する。
青空ML(http://www.bluesky-ml.org/index.html)で農業が専門の方に問いかけてみたところ,評価は定まっていないようだが,EMと違って強烈な批判もないようだ。
ページを折り曲げたところが山ほどあって,個別にコメントしたいことはたくさんあるのだが,時間がないので省略する。食や農に関心のある人は,読んで損はないと思う。