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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『化学物質過敏症・家族の記録』

書名出版社
化学物質過敏症・家族の記録農文協
著者出版年
小峰奈智子2000年



Dec 10 (sun), 2000, 20:20

りりぃ <d2e091a5.tcat.ne.jp> website

人から勧められ、図書館から借りて読んだ本である。化学物質過敏症については、北里の先生が一冊目と思われる本を出された時に読んでいたし、その二冊目も斜め読み程度には目を通していた。

しかし、今回実際にアパートの畳の下にまかれていた有機リン系殺虫剤のフェニトロチオンがまかれていたのを知らずに2年近く暮らし、家族4人全員が化学物質過敏症になってしまった家族の記録をこの本で読んで、びっくりしたというか、そんなことにまで反応するのかと、ただただ言葉が無かった。

私自身もアレルギーの経験はあり、また、アレルギーだけでは、自分の症状が説明がつかず、北里の先生の著書を読んで、「自分も多少これだな」、と納得していた。

しかし、この頃さらに興味を持ってこの病気を勉強していったら、シックハウス、シックスクールという言葉で代表されるように、その建材や、廊下に塗られたワックス、塗料、壁紙等の接着剤、建物や樹木にまかれる殺虫剤がとても良くないことが分かった。p207から引用する。
この部分は北里の先生の本からの引用であるが、
「人は一日に約二〇キログラム近くの空気を取り込みます。そして肝臓を通って解毒される食物と異なり、肺から吸収された化学物質は直接血液に溶け込みます」(『化学物質過敏症』)

そうだったのか。漫然と北里の先生の本を読んでいたんだな、頭に残っていなかった。あの時は、合成洗剤や、食品添加物と言った目先にある問題ばかりに気をとられていて。やはり、体験者の話が加わって説得力というか現実味が増していく。

更に終わりの第8章には著者の思いの丈が書かれている。恐らく彼女達にしてみればこれでも言い足りないだろう。
p239から引用する。
<化学物質の問題は、科学が発達し過ぎた結果だと言われることもあります。本当でしょうか。私たちの苦しみの根源には、むしろ、根拠のない安全神話や、物事をばらばらにして全体として見ようとしない、この時代にどうしてと思うほど非科学的な発想がありました。私は根拠のないプラス思考は危険だと思っています。結局、物事の本質を追及しなくなるからです。>

う~ん、正にそうだ!私たちは、御用学者や、無責任な役人に繰り返し、通常の使用量なら人体に害はない、とのフレーズでやり込められてきた。また、消費者も他人任せに、より便利な物を求めすぎたのではないだろうか?

トルシェジャパンのあのフランス人通訳のように、迫力を持って消費者をリードする学者、研究者、専門家、体験者、識者の出現を期待したい。そんな人達にこそ”言いたい放題”して欲しい。もう、ミスリードは御免だ!!
慎吾ちゃんも言っている、画面から、「21世紀に後悔するな!」

漫然と化学物質を生活に取り入れるな、自分の身の回りにある少しなら大丈夫が、全部ならどうなるかをよく考えてみるべきだ。


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