最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
化学物質過敏症 | 株式会社 かもがわ出版 |
著者 | 出版年 |
石川 哲、 宮田 幹夫 | 1999 |
りりぃ <d2e091a5.tcat.ne.jp> website
以前斜め読みした本だが、最初に訪れた時に感じた“この凛として鋭い空気が流れる掲示板”に書評を書きたくて読み直した。
この本の前のものも読んだが、事態が益々深刻化しているように思う。著者も指摘されているように、この背景には日本の環境教育が先進国のわりには遅れていること、閉鎖社会の日本では大勢に逆らって環境問題を口にするのに勇気がいることが関係しているのだろう。
p139から引用する。<基本的に細菌や虫が死ぬような物質が体の細胞にはよくないことはだれでもすぐ分かることだと思います。>
私は、実はこの文章に書いてあることさえ分かっていない人が結構多いように思う。でなければ、害虫が出たと殺虫剤をシュッとかけたり、抗菌グッズを乱用出来ないと思う。蠅やゴキブリを殺すのに、いちいちシュッとやっていたら、そのスプレー状の薬剤を自分の肺等から吸い込み、血液に流れていくということを考えて欲しい。香取線香や無臭と言われる消臭剤だって空気として自分の体に取り入れているということを分かってどれほどの人が使っているのだろうか?
何故こうなのかと考える。思うに、幼い頃から見続け、読み続けたTVや新聞、雑誌でのコマーシャルのせいだと思う。私たちは自分で選んで買っているつもりでも、それらで見聞きしたものを自然と手にとって、使っていたのではないだろうか?まるで、それらがないとだめなようにいつしか錯覚に陥っていたのでは?長年叩き込まれたCMのせいで、マインドコントロールされていたのだ!
今こそ、スリッパでゴキブリは叩け、蠅ははえ叩きでやっつけろ!の感覚を取り戻したい。
再び引用する。p118<例えば、水俣病、イタイイタイ病のような工場からの排水や農薬などの排水からの汚染物質はすべて海洋の汚染となって残っています。ー中略ー
日本近海のスジイルカの体内には、海水のDDTやPCBの濃度の1000万倍まで濃縮して蓄積しているのです。>p122<また精子の受精能力が微量の合成洗剤で障害されることが知られています。通常の粉石鹸ではこのようなことは起きません。>
大気汚染や水質汚染には個人ではどうにもならないものも
多いかと思う。しかし、洗剤の消費量を減らすとか、合成洗剤を石けんに換える等ということは今直ぐにでもやろうと思えば一人一人が出来ることだ。合成洗剤はその界面活性剤が分解されず残るものがあるばかりでなく、添加されているものの生分解性がかなり悪いという。ゴミの減量化でも、リサイクルの免罪符に騙されてはだめだとの投稿を新聞その他で見かけるがまさにそうだと思う。
本来、プラスチック製品でも、紙製品でも使わなくて済むようにそのもの自体の減量化を図らなければならないのに
リサイクルに目を向けさせて、その製品が売れなくならないようにし向けているのではないだろうか?最後に私も同感する著者の言葉を引用して結びとしよう。
pp168~169<物を少しでも大事にする節度ある生活を送っていただきたいと思います。売れば良いといった原始的な欲望の開放を抑えてください。そして健康維持のためには自分でお金をかけて下さい。>全169ページ 1700円+税