最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
臨機応答・変問自在 | 集英社新書 |
著者 | 出版年 |
森博嗣 | 2001年 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
講義のやり方の参考になるかもしれないと思って購入。「まえがき」と「I. いろいろな質問」の途中まで読んだところでは,常識という名の世間に流布する偏見に異を唱えるやり口は当然として,講義の進め方として予想以上に参考になった。学生の主体性を引き出すやり方として,質問させることが一つの解となりうることは良くわかる。言われてみれば,ぼくはいつも説明過多になって失敗している気がする。しかし,このやり方が成功するためには,学生の側にも努力か才能が必要だと思う。それとも,それを引き出すのが教える側の役割なのだろうか。
森博嗣という人はコトバ遊びが好きらしく,もちろん「臨機応変,変幻自在」を変→答,幻→問と捩ったタイトル通りの内容,つまり問答集なのだが,著者の答えに良く見られる極論は(たとえ矛盾を内包していても)気持ちいい。しかし,自分の子どもに関心をもたないというのは理解できないし,テレビと新聞を見ないというような選択は(ラジオを聞くとかWEBやメールでニュースチェックをすれば情報源としては十分だという意味にせよ,いわゆる一般社会への関心を捨てるという意味にせよ),ぼくはしたくない。しかしこの本から得るものは少なくなかった。