最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
狩猟採集から農耕社会へ-先史時代ワールドモデルの構築- | 勉誠出版 |
著者 | 出版年 |
原俊彦 | 2000年 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
冒頭に著者自身が,「なぜ人類は狩猟採集を捨て農耕生活を始めたのか。この考古学上の問題に,コンピュータ・シミュレーションを用いて取り組んでみようというのが,本書のテーマである」と書いているが,まさにその通りの本である。科学研究費重点領域研究「人文科学とコンピュータ」で7年間に渡って作業仮説を立てては壊し,もっともらしいモデルを求めて試行錯誤してきた過程を,順を追って書かれているので,多少もどかしい点もあるし,記述が前後するようなところもあって,ちょっと気になる。使われる作業仮説自体は著者のオリジナルというわけではなく,生態人類学の知見からの借り物を組み合わせたものなので,それ自体に目新しさはさほど感じないが,この分野でシミュレーションを用いた研究は希だし,最後に得られたモデルはかなり観察事実との整合性がとれているので,大きな価値があると思う。
詳細は「人口学研究」に書評を書くので,ここでは割愛。