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2004年1月のメモ
- 最終更新:
2004年 2月 3日 (火曜日) 12時29分
- RjpWikiで知った,サーバー・クリニック:データとの格闘にはRが便利という記事。統計学への関心自体を掘り起こすのが目的の記事と思われるが,こういう記事も増えていくと,ますますRが広まりそうで嬉しい。
- 森山さんの日記で,Patricia K. Townsendの本"Environmental Anthropology: From Pigs to Policies"(amazon.comのカスタマーレビューをみると5つ星ばかりでusefulという評価が高い)の日本語訳「環境人類学を学ぶ人のために」(世界思想社)が出ていることを知ったので注文してしまった。amazonでは在庫切れと出るのに,bk1だと24時間以内発送となっていたので,初めてbk1で注文してみた。来るのが楽しみ。
- 三中さんの日記から,最近言語学方面で話題のSARS伝播が言語によって(飛沫の出る量が違うから)違ってくるという井上栄さん(たぶん元感染研で「文明とアレルギー病」を書かれた井上栄さんだよなあ……退官してから大妻に移ったのか)の仮説を探してみたら,Lancetとはいえ,2003年7月12日号のCorrespondence欄に載った半ページの仮説(といっても厳密なモデルを立てたのではなく,思いつきという感じのもの)であった。中国・香港,台湾への日本人旅行者が2000年に310万人,2001年の米国人旅行者が230万人と日本人の方が多いのに,2003年6月中旬までに日本人の可能性例がゼロなのに米国人が70例を超えるのは,中国語では母音の前におかれるp, t, k, q, ch, cが強い息とともに発音されて飛沫を撒き散らす(b, d, g, j, zh, zに比べて)し,英語でもpとtとkは同様だけれど日本語はそうでないから,中国人ガイドや店員が米国人ツアー客には英語で,日本人ツアー客には日本語で話したので米国人の方が感染しやすかったのかもしれない,という着眼点は面白い。でも,可能性例の診断の感度や特異度が日米で同じかどうかというのもちょっと怪しい気がするし,日本人は米国人に比べて中国に旅行してもあまり現地の人と交渉をもたないとか,真面目にマスクをするとかいった撹乱要因があるんじゃないかなあと思うし,まあ,やっぱり思いつきの域を出ないんではないかと思う。この話をインフルエンザや日本住血吸虫のモデル研究をしていてSARSの論文を集めている竹内君にしたら,面白がっていたけれど,この仮説では湖南省で患者が少なかった理由を説明できないという指摘をしてくれた。確かにそうだよねえ。
- 予定通り7:00過ぎにサンライズ瀬戸は東京駅に着いた。とりあえず上野に出て朝食後,歩いて東大へ。午前中は少しでも原稿を書こうと思う。午後は社人研で人口学会の編集委員会。
- PanasonicのLet's Noteの新作,Y2というのは凄いマシンだと思う。週刊ASCIIの売れ行き情報では,このところずっとノートパソコンの売れ行きはW2がトップを続けているのだが,そのうちきっとY2と入れ替わるだろう。X22をあと1年くらい使ったら乗り換えたい気もする。
- 昼食抜きで続けた講義準備は何とか間に合った。しかしそれ以外のことがほとんど何もできなかった。統計学は今日で終わり,公衆衛生学はあと1回だが,どちらも試験問題を作らなくてはならないのが辛いところ。
- ちょっと公衆衛生学の準備に凝りすぎて徹夜してしまって大変にまずい状況の木曜朝,ブータンから"eggs could contain the bird flu virus in the egg white, yolk ..."という情報があるというメールを頂いた。どういう根拠があるかは調べる時間がないので不明だが,H5N1の場合,流行初期には卵の中に入ることもあるかもしれないらしい。それならそれで大変まずい話だから,そう伝えなければならないだろう。いずれにせよ,現状の報道はおかしいわけだが。
- 学生がフロッピー上のファイルが読めないという学生が来たので調べると8セクタフォーマットのディスクだったとか,アンチウイルスソフトのインストールをしたいとかいったことに対応しているうちに15時近いので,大学院教授会に行かねばならない。講義準備の続きは,その後の某委員会の月例会議が終わってからだな。
- 鳥インフルエンザのパンデミックが起こったら確かに恐ろしいのだが,肉を流通させないとか卵を回収するとかいうのは過敏症だと思う。マスメディアの報道を聞いていると,「回収することを決定しました」とか「処分します」とか「山口県産ではありません」とか「タイ産の輸入を停止しました」とか言っておきながら,その舌の根が乾かないうちに,風評被害を起こしているという批判を受けないための予防線として「鶏肉や卵から感染した例はこれまで知られていません」と伝えるという,矛盾に満ちたものになっていて,頭がおかしくなりそうだ。いくら予防線を張ったつもりでも,そういう伝え方では,普通,これまで知られていないけれど危険な可能性もそれなりにあるから処分しているのだと思ってしまうに違いない。どうして,マスメディアは,インフルエンザウイルスは熱に弱いので加熱調理すればそれを食べることによって感染する危険はないとか,そもそも普通は卵の中には移行しないはず(2項目上の追記参照)といったメカニズムについての説明をまったくしないのか?
- MyDoomウイルスの来襲数は普通ではない。この2日間で200は超えたと思う。body.zipとかdocument.zipとかdata.zipなんていう添付ファイルが付いているメールは,もう見飽きた。差出人はアカデミック系に詐称されているものが多いのだが,SMTPの経路をみるとcomcast.netからとか,bbtec.netからとかのものが大半で(中には本当にac.ukとかac.jpから来たらしいものもあったが),警告するにしてもプロバイダ相手くらいにしかできないのが痛いところだ。もちろん,もっと腹が立つのは,自分のアドレスが詐称されて,(それが詐称であることに気づいているのかいないのかわからないが)警告メールがいくつも送られてくることだが。
- 三番瀬の問題はずっと気にはなっているのだが,環境経済学者の倉阪秀史さんが三番瀬円卓会議のパブリックコメントについて,三番瀬円卓会議の委員の辞任・継続拒否についてという文書を公開されていることと,それに対して千葉の干潟を守る会から三番瀬自然環境総合解析はウソやごまかしが何カ所もという反論がでていることを偶然知った。まだちゃんと読んでいないが,互いに見解の相違というやつがいくつかあるような気がした。やろうとすることは実質的には大差ないような。ただ,「パブリックコメントについて」で取り上げられているアンケート結果はおかしいと思う。少なくとも回収率が20%のアンケート調査結果はあんまり代表性がないように思う(偏った回答である可能性がある)し,「最も」という選択肢の割合の合計が100%を超えるのは計算がおかしいと思う。
- 審議会の議事録が公開されているのは重要なことだと思う。メディア報道だけ見ていては長野県本人確認情報保護審議会の議事録に書かれているような恐ろしさは,なかなかわからない。
- 火曜は疫学特論。第8章が終わらなかった。ともかく終わるまで補講をやるしかあるまい。晩飯は豚汁を作って餅を入れて食べた。その後再び研究室へ来て講義準備など。
- 講義はかなり駆け足だったけれど,この講義は全部を理解させることが目的ではなくて,関心をもって自分で手を出したくなる気持ちにさせることが狙いなので,いいことにしよう。Rでシミュレーションを実演するのは,インパクトとして悪くなかったと思うがどうだろうか。自己満足か? その後,サンライズ瀬戸の時刻まで某原稿を少しでも進めようとしたが,かなり企画倒れ。
- 月曜は東京で講義(人口学の「病気と人口」)。長野駅で来週末の出張のための切符の発券に手間取り,土産物を買う暇もなく新幹線に飛び乗った。複雑な長距離切符を買うから仕方ないのだが,こういつも時間をとられるのは鬱陶しい。もう少し経路選択の操作が直感的に非熟練職員にもやりやすいような賢いソフトを開発して欲しいものだ。もっとも,そういうものがあれば,窓口で職員が応対しなくても,自動券売機で十分かもしれないのだが。
- 約1時間遅れて長野に着いた。郵便局に行った他は講義プレゼンを作りながら家事をこなしているうちに土曜が終わった。日曜は雪がちらつく中,子供たちの耐寒ラジオ体操に付き合った。何でももう30回を超える歴史があるイベントらしい。ラジオ体操の世界でも指導者が表彰を受けた立派な方だとか,いろいろ奥が深いものがあるらしい。何で「ラジオ」なのに中央郵便局の副局長が挨拶するのかと思ったが,そもそもラジオ体操が逓信省の簡易保険局の事業として始まったからで,今でもNHKと日本郵政公社と全国ラジオ体操連盟の共同で普及推進運動がされているそうな。なるほど。
- 北陸線が雪で10分遅れ,信越線の始発が待ってくれなかったので,早朝の直江津駅で30分以上待ち。既に営業を開始していたNew Daysで買い物をする人多数。まさかとは思うがこうやって買い物をさせようという陰謀か? 2番の信越線に乗ったが,高田駅で15分以上停車。接続する予定の電車が遅れているので待つのだとか。北陸線は待ってくれなかった癖に不思議なことだ。ひょっとして始発は待たないがそれ以降のは待つとか?
- 来週月曜のための講義資料をプリント。プレゼンは別に作らなくては。19:00を回ったのでさすがにそろそろ出ないと間に合わないか。郵便局に行きたいのだが無理か。
- 番組予告で知ったが,NHKスペシャルのデータマップは見るべきかも。プロデューサの意図は空間記述疫学に基づいたサンプリングで生々しいルポをやるところにあるのだろう。
- 政治も学問の世界も,成立基盤は市民社会にあるから,どちらがうまくプロパガンダできるかというのは死活問題である。都立大問題とか横浜市立大問題のように,政治によって学問(の実践現場としての大学という制度)が殺されようというとき,せっかく制度化された文化として機能してきた(はずの)大学は,社会にその制度を捨てさせないためのプロパガンダをしなくてはならない。政治家はプロパガンダの専門家だから,それに勝つにはよほどうまくやらないと。難しい。
- 某MLでこのところ話題の種社会ソフトウェアとかいう話は,ちゃんとフォローしている暇はないのであくまでも印象だが,なんだかクローバーの超有機体論に似ていると思う。
- 金曜朝,久々に晴れたので(着る服もなくなってしまったし)洗濯して干してから研究室に来たのだが,11:00頃からまた吹雪。干してきた洗濯物が凍るかも。この2,3日水のような鼻水が出ていたのだが,粘っこくなってきたので,安保説によれば軽い風邪が治りかけているらしい。ここで風邪を引くと悲惨なので,やはり昨夜眠っておいたのは正解だろう。
- 何をやったか書いておかないと忘れそうなので,ともかくメモしておくと,看護情報処理論の講義が終わってから,昼に業績リストを終わらせて紀要委員にメールで送り,拡大教授会と教授会。夜になると雪。統計学と公衆衛生学の講義準備のために徹夜(1:00から4:00頃まで仮眠)したのは,統計学で去年は触れられなかったロジスティック回帰分析を説明する資料(このPDFファイルの終わりの方)を作ったため。R Newsの新しい号が出たので,内容説明を書いてみた。シミュレーションの話が面白そうだ。朝になっても雪。山口には珍しく積もってきた。公衆衛生学も食品安全委員会の話を入れなくてはならず資料(PDF形式)が完成したのは14:00過ぎでぎりぎり。統計学の講義では,せっかく「一般化」線型モデルの枠組みを説明するのだから,ロジスティック回帰くらいは触れないとと思って,MASSライブラリのbirthwtデータを使って説明したわけだが,ほとんど時間がなかったから超高速にならざるをえず,ほとんどの学生はわからなかっただろうと思う。でも,きっと後で資料を読んで試してくれればわかるんじゃないかと期待。講義後,来週月曜の講義資料とか原稿とかやらねばならないわけだが,もうさすがに体力の限界なので,既に凍った雪が滑るのに気をつけながら帰って早く眠った。
- 組合の仕事と学部ウェブサイトの更新作業が終わって,いくつかのメールに返事を書きながら看護情報処理論の最終回の資料が完成してみたら,夜が明けていた。眠い。業績リスト作成はhtmlを生成するplを書くことにすれば太字の処理ができるし,それをWord文書に移すのがスムーズにできそうな気がするのでそうしよう。それにしても番号とか余計なものがついていたり,半角と全角が混在していたりすると,そこだけ手作業で直さなければソートもできないのでかなり手間がかかった。やはり入力段階でのエラーチェックを正規表現のパターンマッチをうまく書くとかしてやるべきなんだろう。
- 火曜は可燃ゴミを出してから研究室へ。たくさんの出張書類作りが面倒だが,午前中で何とか終わりそうだ。続けて紀要の業績リスト作成とか別刷りを送るとか。夕方の疫学特論の前に終わるだろうか?
- 届いて嬉しいものといえば本である。昨日amazonから届いた「演習 環境リスクを計算する」とか「共分散構造分析[疑問編]」のように買った本であっても嬉しいが,さっき東大出版会から届いた「島の生活世界と開発(1) ソロモン諸島 最後の熱帯林」のように,自分か部分的にでも書いている本だともっと嬉しい(とっくに締め切りを過ぎている第4巻の原稿を書く時間がない現状に思いを馳せるとストレスでもあるが)。反対に嬉しくないものといえば(事務的な仕事もだけれど,それ以上に圧倒的に),ウイルスやワームやSPAMである。大抵,1日に150通以上は来るのだが,今日の午前中だけでも,流行り始めたというWORM_BAGLE.Aも早速2通来たし,ANTIVIR/MailGateはW32/Funlove.4099を2通続けて引っ掛けてくれた。こういうものは,感染経路も感染手順もわかっているし,気をつけていれば,お金をかけなくても予防できるのだから(OEを--少なくともデフォルト設定では--使わないとか,知らない人からの添付ファイルは見ないとか,セキュリティパッチを当てておくというのは,現実の感染防御におけるstandard precationみたいなものだと思う),ネットワークにコンピュータをつなぐ人は気をつけて欲しい。
- 晩飯のカレーを食べつつ,麻生幾『38℃ 北京SARS医療チーム「生と死」の100日』(新潮社)を読了。細かい突込みどころはあるものの,全体としては実に読み応えがあった。中国の保健医療の実情を知るのにも役に立つし,北京でのSARS対策が如何にパニック状況の中で行われたかがわかったし,その中で,状況に流されながらもプロ意識を発揮して犠牲的に対策にあたった人々の一人一人の顔が見えてくる描写に迫力があった。なお,本書に出てくる地区組織の整備のされ方が凄いのだが,これは北京だからなのか,それとも中国全体にいえることなのかを知りたいと思った(現在報告書作成中の仕事にも関連しそうだ)。また,本書には荏原病院の医師である角田さんが,手洗いをきちんとするといったstandard precationが先決という主旨のことを書かれているが,この種の本では,こうしたバランス感覚は大事だと思う。いろいろな意味で保健医療関係者は読んでおくべきと思う。
- 森山さんの日記からZAKZAKのタニタの記事に『現在は体脂肪計からさらに一歩進んで、骨密度や筋肉量、内臓脂肪なども測れる「体組成計」を昨年発売』とあったので,骨密度を測るとは,まさか体重計型でDEXAってわけにはいかないだろうから超音波か? と思ってタニタのサイトを見にいったら,除脂肪体重と骨量の相関関係から推定しているだけだそうな。残念。
- 担当会場では選択した受験生がいなかったので目にすることのなかった,情報関係基礎の問題(読売新聞サイト)。第1問の問2みたいな問題もありなのかと驚いた。第3問はあまりにもEXCEL(いや,たしかARANKという関数はなかったと思うが)。ここは,せっかく架空のソフトということにしてあるのだから,OOoのcalcみたいに,ワークシート関数の引数の区切りはコンマでなくてセミコロンにして,別のワークシートを参照するときはエクスクラメーションでなくてドットを使うことにして欲しかったところだ。
- 日曜も試験監督。弁当を作ってきたので,昨日は3食麻婆茄子豆腐だったが,今日は3食鶏カレーである(希望者すれば500円/食で注文することもできたが,注文せずに朝飯の残りを持参することにしたのだ)。こちらも疲れたが,受験生も大変だと思う。講義するときは学生の顔をそれほど眺めている暇はないので,なかなか学生の顔を覚えないのだが,センター試験の監督中は他にやることがないので,試験室にいた(最大47人の)受験生の顔を覚えてしまった。いや,たぶんすぐに忘れるだろうけれど。某MLで昨日の生物Aの問2があまりいい問題でなかった(けれどあの問題文なら受験生は迷わず答えられたはず)という話が出ていて,その通りと思った。ただ,抱っこしたときは必ず授乳というなら条件付けもされるだろうけれど,ただ抱っこする場合もあるわけで,その場合は学習が成立しないような気がするが。ついでに書いておくと,数学Aの第5問(BASICのプログラムについて問うもの:リンク先は読売新聞サイトにある問題文)で,問題内容はともかく,プログラム自体がGOTOだらけで構造が見難いものだったのに辟易した。もしかすると高校数学Aで扱うBASICでは,GOSUBとかラベルとかWHILEとか使えないのか? それとも読みにくいプログラムを読めるようになるのが学習の狙いなのか? そもそも,このAとBからXとYを計算するだけなら,floor関数(引数より大きくない最大の整数を返す関数)さえあれば,ループなど要らんのだが。ちなみにRのプログラムで書けば,AとBには付値済み(かつBが正)とすれば,Xはfloor(A/B)だし,YはA-floor(A/B)*Bだよなぁ。
- 土曜。一日中試験監督。退屈でありながら他のこともできず,食後の眠気を堪えるのに苦労した。センターは監督ロボットを開発すべきだと思う。夜,ふとNHK総合の「地球に乾杯」をつけたら(もう番組は終わるところだったが),スンバ島のPau村の王様が出ていた。懐かしかった。
- 山口県セミナーパークが山陽本線の四辻から車で5分とあるのを,徒歩5分と勘違いしていて,四辻に着いてから2.5 kmという表示を見て青くなりかけたが(駅前にタクシーもいないし),山口県看護協会の方が車で迎えに来てくださっていて助かった。懸念した通り,相当に駆け足になってしまったけれど,工夫がうまくいった点もあって,それなりに良かった。
- 夕食後,翌朝6時までかかって(途中2時間ほど仮眠したが),「統計のセンスを磨く」集中講義の資料準備。38部ずつ資料をプリントした(4種類ほど資料を用意したが,そのうち1つのpdfファイル)。グループワーク企画の不確定要素が多く,ぶっつけでうまく行くかどうかわからないが,ともかく試してみることに。
- 午後は公衆衛生学と統計学の講義。いつもの教室が卒論発表会で使われているので,統計学を本部でやる必要があり,公衆衛生学を早めに終わらせるつもりだったのだが,ネタが「人類生態学」だったので,話に熱が入って,結局時間どおりにやってしまった。A32まで大きな液晶プロジェクタを運ぶのはやや重かった。やはり液晶プロジェクタは各講義室の天井に備え付けて欲しいものだ。
- 卒業論文発表会。ぼくが指導した学生の発表は,まあ良かった。質疑がセッションごとにまとめて行われたので,突込みどころが多かった他の発表への質問が長くなりすぎたせいもあって,質問もコメントも出なかったが,まあ,隙がなかったともいえる。ぼくは十二分に合格点を出したい。ここの看護学部の卒業研究は,わりと時間と手間をかけて真面目に取り組む学生が多いので,大抵のものが,その研究の枠内ではわかる話になっているのだけれど(東大の一部の学生のような,教員を舐めているとしか思えない発表をするカブキモノはいない),研究対象の位置付けがきちんとなされていない報告が多く,勿体無いと思った。ややレポート的というか。本当は突っ込みとかコメントを入れたい点が山ほどあったのだが,今年はフロアの学生がかなり積極的に質問やコメントを発言していたので,時間的に,教員が口を挟む余地が少なかった。ただ,総合討論という形ではなく,個々の発表に対して質疑をする方がいいのではないかとも思った。ついでに提案しておくと,予め査読する主討論者を指定しておくとかすると,もっと内容の深いところまで質疑が進んで学生には力がついていいと思うのだが,いかがだろうか。
- 統計学と公衆衛生学の講義資料ができあがったのは3:30だった。今夜こそは帰って布団で眠ろう。明日は午前中卒業研究発表会に出て,午後は講義。講義後に明後日の集中講義の準備をする予定(それほど新しいことを喋るわけではないから,たぶん間に合うだろう)。それにしても,何という自転車操業か。
- 火曜の昼に人間工学の資料が完成。大学院の疫学特論後,編入生向けに人間工学の講義。マリンで食材を買って一旦帰宅し,賞味期限が切れてしまった貰い物の蒲鉾をキムチ鍋風に野菜と一緒に煮込んでおかずにして晩飯。意外に美味。再び研究室に来てユーザビリティとユニバーサルデザインの資料作りを始めたが(資料探索中に見つけた“ユーザビリティの王様”Jakob Nielsen(コラムの日本語訳)のユーザビリティについての経験則10箇条からリンクされていたユーザビリティを日常生活に適用すると?は,どこかで聞いたような話が多かったけれど,7は身につまされた。また,Nielsenの最新コラム「情報汚染をきれいにするための10ステップ」[日本語訳]も,なるほどと思う。できるかどうかは別として),1:00過ぎに仮眠を取ったら4:00まで眠ってしまい,結局資料が完成したのは8:00近かった。一旦帰宅して昨夜の鍋を温めなおして朝食をとり,大学に来て看護情報処理論の講義を2コマ。1コマ目の人間工学は昨夜の繰り返しでいいわけだが,つい,その場で工夫してアレンジしてしまうので,完全な繰り返しというわけにはいかない。まあ人間だから仕方ないか。2コマ目のユーザビリティとユニバーサルデザインの話は予想以上に早く済んだので,評価の仕方としてレポートの締め切りと課題を提示。この科目は評価が難しいんだよな。
- 1:00過ぎにちょっと仮眠と思って椅子を並べて横になったら疲れが出て眠ってしまったらしく,気がついたら6:43だった。考えてみれば前夜は夜行バスだったのだから,疲れが出ても仕方ないかもしれないが,このままでは講義準備が終わらないような。テーマが無謀だったか?
- 月曜の昼は,卒業研究の学生が来て,発表準備のプレゼンテーションと発表原稿の仕上げをした。あの内容を7分に切り詰めるのは至難の業だから,ばっさり切ってテーマを絞るしかなかった。その後,晩飯のために一時帰宅。味噌汁(鰹節と鯖けずり節で出汁をとり,玉葱と南関揚げを具にして,徳地の合わせ味噌をといて,おぼろ昆布をぱらっと落とした)がうまくできたので元気が出た。再び研究室に来て講義準備。
- 公衆衛生学で昨年末,1997年に香港で見つかったH5型インフルエンザの話をしたときは,大変だなあと思いつつも,どこか対岸の火事といった感覚だったのだが,こうして山口県でH5型高病原性鳥インフルエンザ発生(毎日新聞)となると,問題の大きさが実感される。毎日新聞の記事によると,「国内の鶏肉や鶏卵の需給への影響はほとんどない」ということだが,当の農場では既に感染した鶏が6000羽死んでいるとのことだし,生き残った鶏も全部処分せねばならないし,卵も自主回収せねばならないのだから,大損害であろう(本来なら,卵を回収する必要はないと思うが)。農水省発表では,発生現場での取材は慎むようにと書かれているが,感染症である以上,広まる可能性は少しでも減らしたいところで当然であろう。TBS News-iには現場の映像が出ているが……
- PNAS onlineに載ったBergstrom and Bergstromの論文によると,ミクロ経済と基本的な統計理論を使って分析した結果,オンラインジャーナルへのフルアクセスの施設ライセンスのコストと利益の分析をした結果,もし出版社が利益を最大化するようにライセンスの値付けを行うなら,個人ライセンスだけの場合より学者にとってアクセスは悪くなるけれど,読者を最大にするように値付けを行うなら,科学者共同体が受ける純利益は,施設ライセンスがある方が,個人講読しかない場合よりも大きくなることが示されたそうだ。PNASは明らかに読者を最大にしようと思っているのだな。
- 長野へ。久々に夜行バスに乗るとやや疲れる。金曜は年賀状の返事書き,土曜は散髪,日曜はどんど焼きに行ったが,それ以外は家事と子守りに明け暮れ,日曜夜のバスで再び山口へ向かう。再来週とその次の長野と東京のための複雑な切符を買うため,30分前に長野駅に着いたが,例によって発券に手間取り,バスへの乗車はギリギリのタイミングであった。締め切り過ぎの原稿を書き進める時間がないのは,どう考えてもまずいのだが,さりとて講義準備をしないわけにもいかない。どう打開しよう?
- 別刷りの共著者への郵送と別の別刷りの料金の銀行振込(567円振込むのに420円の手数料はどう考えてもアホらしいので,定額小為替を使わせて欲しいところだが,何とかならないのだろうか>熱帯医学会)。その後,一昨年から続く共同研究の会議。分担して分析を進めるのは,いろいろな視点が入っていいのだが,報告書をまとめるという観点に立つと,体裁を合わせるのが難しいという欠点をもつ。全員がTeXを使うというのも非現実的なので,表形式のRTFを吐くようなマクロを作るしかないのだろうか? それともhtmlを吐かせるか? 統計学はどの程度伝わったかわからないが,時間配分はまあまあ。
- メールで学会準備を含む事務的な要請に答えながら,明日の会議の資料と統計学の講義資料を作って印刷しおえたら,とっくに日付が変わっていて2:30だった。帰らねば。
- 月曜と火曜は溜まった仕事を片付けつつ,卒論の学生のプレゼン作りを指導。ついつい,文章レベルで手を入れてしまう。水曜は会議が2つ。木曜は会議が1つと講義が2つ(うち1つは自分でするのではなくなったが)の予定。合間にどれくらい原稿が書けるかが勝負だ。
- 衒学的な(あるいは読書オタクっぽい)思いつき。あるいはコトバの遊び。やることが多すぎてどれも進まないようなとき,コリン・ウィルソンの「精神寄生体」みたいなやつが実在していて集中を妨害しているのかもしれないなんて考えると,ジョン・ナッシュの美しい精神に生じた侵略妄想と同じく統合失調症に近づいてしまうのかもしれないから,ジョアオ・マゲイジョみたいに管理的なシステムや書類に対して毒づいていた方が健全だろう。やむにやまれぬ衝動とか何となくやる気がしないといった心(養老孟司風にいえば脳の機能)の動きも,自律神経系やホルモンによって影響されるのは確かだから,安保徹路線で説明することも可能だし,そうやってセルフコントロールを試みることは,現象としてみれば「精神寄生体」に対処することと大差ないような気もする。
- RがYahoo! JAPANのディレクトリ項目になり,当サイトもリンクされたというメールが年末に届いていた(2003年12月29日の「新規登録サイト」での表示)。「数学」のカテゴリ内であるのはどうかと思うが,これでRの普及が一層加速するかもしれないと考えると嬉しい。
- 義弟のジャマイカ土産のブルーマウンテンを飲む。良く言われる通り,非常にバランスのとれた味だと思う。トラジャのような強烈さはないが,美味い。しかし,200グラム余りで620ジャマイカドルということは,例えばライブコーヒーで買う場合の6割くらいの値段ということになるわけだが(日本でブルーマウンテンと表示して売られているもののうち,どれくらいが本物なのかという議論もあるのだが,それはさておき),現地の人の年収からすると途轍もなく高価な嗜好品であることは間違いない。外貨獲得の重要な手段であり,その信頼性を守るためだろうか,いかなる形態でもジャマイカへのコーヒーの持ち込みは禁止されているらしい。とすると,ジャマイカの人たちはニューギニア高地やインドネシア・スンバ島の人たちとは違って,日常的にコーヒーを楽しんではいないのだろうか?
- 4日日曜に山口に戻る。電車の中で読んだ,ジョアオ・マゲイジョ著(青木薫訳)「高速より速い光:アインシュタインに挑む若き科学者の物語」(NHK出版)の熱意と勇気には感動した。NHK出版の青木薫訳の本は前年のバラバシ「新ネットワーク思考」に続いて大当たりである。いろいろ共感する点も多かった。早速仕事をしようと思ったが,正月休み中に溜まったメールと郵便物を捌く(とりあえず目を通して分類しただけだから,処理したとは言えない)だけで日付が代わって1:00となり断念した。だから駄目なんだよなあ。
- 年末年始は妻の実家で過ごした。子守りで疲れたが総睡眠時間はいつもの2割増しで取れたような気がするからプラスマイナスゼロか。原稿が気になるが手をつけられず。
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